連休などでプリンターとフィラメントを数日以上使用しない場合、フィラメントが空気中の水分を吸収(吸湿)し、連休明けの造形不良の原因となることがあります。本記事では、吸湿が造形不良につながる仕組みと、連休前の保管方法・連休明けの造形再開手順をご案内します。
なぜ連休明けに造形不良が起きやすいのか
フィラメントの多くは空気中の水分を吸収する性質(吸湿性)を持ちます。
日本のような多湿な環境において、装置に取り付けたまま、あるいは開封状態のまま数日〜1週間以上放置すると、フィラメント内部に水分が取り込まれ、また梱包や室温の変化によってフィラメント表面に水分が付着することがあります。
吸湿したフィラメントで造形すると、ノズル内で水分が気化して次のような不良につながります。
- 糸引き(スタリンギング)
- 表面の荒れ・気泡・プツプツ音
- 寸法のふくらみ
- フィラメント詰まり・吐出不良
- 層間の密着不足による強度低下
特にPA(ポリアミド/ナイロン)系は吸湿性が高く、乾燥・防湿などの管理が必須です。POTICONフィラメント(NTL系を含む)も、新品の状態であっても造形前に必ず乾燥が必要な材料です。
図解:吸湿が造形不良になる仕組み
図1 連休中の放置により、空気中の水分がフィラメント表面に付着し、内部へ浸透します。
図2 造形時、水分を含んだフィラメントはホットエンドの加熱部(メルトゾーン)で溶融します。溶融温度は水の沸点100℃を大きく超えるため、樹脂内部の水分が気化し、水蒸気の気泡が発生・膨張します。
図3 気泡を含んだ溶融樹脂が吐出されると、ノズル先端で気泡が弾けて吐出が途切れます。その結果、印刷中の層に途切れ(欠け)・表面の荒れ・閉じ込められた空隙(強度低下)が現れます。
図4 事前に乾燥したフィラメントであれば、メルトゾーンで気泡が発生せず、均一で連続的な吐出により滑らかな造形面が得られます。
連休前にやっておくこと(保管)
- 造形予定のないフィラメントは装置から抜き取り(アンロード)、乾燥剤とともに密閉袋・密閉容器に入れて保管してください。抜き取り手順は「フィラメントの抜き取り(アンロード)」の記事をご参照ください。
- G-ZERO L1をご利用の場合は、除湿ボックスの電源が連休中も維持されるかをご確認ください。ブレーカー断などで停止する環境では、フィラメントを取り出して密閉保管することをおすすめします。
- スプールを直接床や窓際など、温湿度変化の大きい場所に置かないでください。
- 開封済みのフィラメントは、未開封品と区別できるよう乾燥履歴(最終乾燥日)をメモしておくと、連休明けの判断がスムーズです。
連休明けにやること(造形再開前)
- 連休中に装置へ取り付けたままだったフィラメント、および開封済みフィラメントは、造形前に定温乾燥機での乾燥をおすすめします。POTICONフィラメントは定温乾燥機で70度72時間程度の乾燥が必要です(新品でも同様です)。推奨温度以上での乾燥はスプール変形の恐れがあるためお控えください。
- その他の材料の乾燥条件は、各フィラメントメーカーのデータシート(TDS)記載の条件に従ってください。
- 本造形の前に小型のテストピースを造形し、糸引き・表面荒れ・異音(プツプツ音)がないかご確認ください。症状が見られる場合は追加乾燥をお試しください。
- 造形開始前に、ノズル先端付近に樹脂が固着していないかご確認ください。固着している場合はピンセットなどで清掃してください。
吸湿が疑われる造形不良が出てしまったら
- まずフィラメントごとの乾燥条件を確認の上、送風乾燥機などをしようして乾燥を実施し、乾燥後に再度造形をお試しください。
- 吐出されない状態でフィラメントのロードを繰り返すことはお控えください。詰まりが悪化する可能性があります。
- 乾燥後も改善しない場合は、機器番号・使用材料・症状の写真を添えてサポートまでお問い合わせください。
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